鍛えるだけではなく、競馬を教えるのが追い切り
ゲート試験に合格すると、いよいよ本格的な調教、いわゆる「追い切り」がスタートします。これまでは、200m(1F)を17秒から20秒といった、ゆっくりとしたスピードで走ることしか経験していない馬が、1F15秒よりも速いスピードで1000mから1200m(5F~6F)を走り抜くということを行います。
馬にはいろんなタイプがいますが、最も優秀な戦績を残せる馬は「早く走れて、騎手の言うことを聞く馬」です。「早く走れれば十分ではないの?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、それなら重宝はさほそ重要ではありません。馬の思うままに走らせて、そのスピードを活かせばよいわけですから。
しかし競馬はゲートが開いて、最初から全速力で走り、ゴールまで駆け抜けるということはありません。スタートは少し早めに出ても、そのあとは一旦スピードを落とし、勝負どころと言われる、ゴールまで800m、600m手前の位置で再びスピードが上がるという「緩急の差」に対応しなければいけません。これが、騎手の言うことうを聞くという状況になります。
調教では「今は我慢だよ」とか「今からスピードアップだよ」ということを乗り手が教えています。これが追い切り、調教欄に掲載される調教です。これを数回繰り返して、実戦でも上手に走ることができると調教師が判断すれば、レースに出走することになります。